参考文献
下請取引の法務
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『下請取引の法務』(川越憲治、商事法務、2004年)は、下請法や下請契約について解説している実務書です。
編集者・著者の川越憲治氏は、弁護士の方であり、同時に、白鴎大学の教授でもいらっしゃいます。独占禁止法を専門とし、同法の第一人者として、数多くの書籍を出版していらっしゃいます。他の著者の方々は、弁護士の方、財団法人全国下請企業振興協会理事の方です(巻末「執筆担当」より)。
本書では、下請取引全般の解説書として、下請法、下請中小企業振興法、各種下請契約について解説しています。
下請法の解説書
本書は、下請取引全般についての解説書です。本書では、大きく分けて法令(下請法・下請中小企業振興法)と契約実務(下請契約)の二つの内容が解説されています。このうち、特に下請法の解説が重要です。
下請法の解説では、下請法の適用範囲、親事業者の義務、親事業者の禁止行為等について解説されています。この点については、公正取引委員会のガイドラインが引用されており、ガイドラインの具体例を通して、これらの内容を理解することができます。また、各種資料・データ・統計も記載されており、下請法についての実態を把握することができます。
本書は、法令の解説としては、比較的平易な表現がなされています。このため、初学者の方にとっても、非常にわかりやすい内容となっています。また、各種資料も充実しています。このため、実務家や企業の担当者にとっても使いやすい、実用性が高い書籍といえます。特に、親事業者、つまり下請先と下請取引をおこなっているメーカーやソフトウェアの開発業者等の担当者にとっては、必読の書籍といえます。
下請契約の解説書
本書の後半では、下請契約の解説がなされています。具体的には、製造委託、プログラム作成委託、放送番組制作委託、貨物自動車運送委託などについて解説されています。
本書では、これらの契約のモデル契約書の逐条解説を通して、契約内容の解説がおこなわれています。特筆すべき点として、本書では、下請法の内容を意識した解説がなされています。この点は、本書ならではの解説とえいます。
これらの契約の解説については、非常に充実していますが、それぞれの契約の専門書に比べると、見劣りする箇所もあります。このため、実際に上記の個々の契約の締結を検討する際は、本書に加えて、個々の契約の専門書を使用することをお勧めいたします。
なお、本書の巻末には、付録として、下請契約の注文書の書式例が掲載されています。親事業者による下請法違反行為としては、注文書を始めとした下請事業者に対して交付すべき書面(いわゆる「三条書面」)の不交付・不備が最も多いとされています。本書の注文書の書式例は、下請法に対応した内容となっていますので、親事業者にとっては、非常に参考となります。
お勧めの関連書籍
- 川越憲司実務経済法講義』民事法研究会;平成17年
- 滝川宜信『取引基本契約書の作成と審査の実務[第2版補訂版]』民事法研究会;平成19年
- (社)情報サービス産業協会法的問題委員会契約部会『新しいソフトウェア開発委託取引の契約と実務』商事法務;2002年
- 大阪弁護士会知的財産法実務研究会『知的財産契約の理論と実務』商事法務;2007年
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