現在の閲覧ページ

トップページ > 参考文献 > リスク・マネージメントの道具としてのビジネス契約書の起案・検討のしかた

参考文献

リスク・マネージメントの道具としてのビジネス契約書の起案・検討のしかた

スポンサード リンク

『リスク・マネージメントの道具としてのビジネス契約書の起案・検討のしかた』(原秋彦著、商事法務、2002年)は、実践的な契約実務の実務書です。

著者の原秋彦氏は、弁護士の方です。日本の弁護士とアメリカ・ニューヨーク州の弁護士として登録されています。(巻末「著者紹介」より)。

本書は、契約実務の視点から、豊富な文例(問題があるものとその改善案)が記述されています。特に、一般的な契約実務書ではあまり扱われず、それでいて実務上、非常に重要な点が数多く記述されています。

なお、2011年9月30日に第2版が出版されています。

実務家の立場から記述された文例豊富な実務書

本書は、タイトルのとおり、ビジネスにおける契約書の起案・検討について解説している書籍です。

本書の基本的な記述スタイルは、契約文章を提示し、その問題点を指摘し、改善案を提示するスタイルです。この契約文章の比較は、実用性が高く、ビジネスでの契約書の起案の際には、非常に参考になります。

また、特筆すべき事項として、弁護士との付き合い方(P139~「弁護士に相談すべきこと」)についても記述されています。依頼者としては、弁護士等の専門家に相談するのは、いわば右も左もわからない状態だからこそ相談したい、という事情もあるのでしょうが、専門家の側にも事情はあります。そもそも、依頼者の側が右も左もわからないような状態では、いかに専門家といえども、適切な対応を取ることはできない可能性があります。

本書では、このような状態とならないように、弁護士に相談する際に、どのような点に気をつけるべきかが記述されています。特に、契約の内容についてどのように具体化・明確化したらいいのか、という点が、事例によって解説されています。

本書の著者は、アメリカのロースクールの修士号を取得してる、日米双方に登録している弁護士です。そのためか、本書では、契約文化の本場であるアメリカの契約実務の考え方が反映されている表現が散見されます。

業務委託契約書独特の「あいまいさ」の改善に最適

著者が「はじめに」の部分で、「あまりアカデミックと呼べるようなシロモノではない代わりに、従来の法学部や司法試験予備校ではなかなか教えてくれなかったかもしれな発想方法なり着眼点をできるだけ取り上げてみたつもりです。」と記述していらっしゃるように、本書の内容は、極めて実務的な記述に終始しています。

特に、具体的に契約文章を掲載して検討を加える記述スタイルは、日本でよくありがちなあいまいな契約文章の危険性の理解に役立ちます。なぜ日本でよく見かけるあいまいな表現の契約文章が危険なのか、実際にどのように改善すべきなのか、こうした点が指摘されています。

例えば、弊サイトでも検証している「検収」という表現の問題点が、論理的に解説されています。これは、類書ではあまりみられない解説です。また、日本の契約書では必ずといっていいほど記載されている「誠実協議条項」が、いかに意味の無い、場合によっては危険な表現なのかが指摘されています。

業務委託契約書は、定型的な記述方法がありません。このため、契約文章を起案する実務能力が乏しい場合は、どうしてもあいまな表現に「逃げる」ことが多くなります。しかし、そのようなあいまいな表現は、結果的には役に立たないどころか、リスクとなることすらありえます。本書は、そのようなリスクの注意と改善に役立つ書籍です。

ただし、本書は刊行されてから年月が経っていますので、最新の法律に対応しているかどうかは、必ずチェックする必要があります。また、やや高度な専門知識を必要とする内容もありますので、初学者の方は、他の入門的な類書で基本的な知識を習得したうえで読むことをお勧めします。

なお、本書は、もともとはあるセミナーで使用していた資料やレジュメをまとめたものです。このため、一般的な書籍と比べると、若干特殊な構成をしています。

お勧めの関連書籍

その他の契約書のことなら「契約書の達人」

スポンサード リンク

ユーザー支援

最終更新日2012年8月21日