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重要な契約条項

危険負担の移転の時期

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目的物の引渡しがともなう業務委託契約では、危険負担の移転の時期を規定します。

危険負担の移転の具体的な時期は、民法で明記されています。しかし、その内容は、ビジネスの実態とはかけ離れたものとなっています。このため、業務委託契約書を作成することで、民法の規定を修正します。

また、危険負担の移転の時期は、委託者にとっては遅いほうが、受託者にとっては早いほうが有利ですから、利害が対立します。このため、妥協点が重要となります。

民法上の危険負担の移転は実態とかけ離れている

危険負担とは、業務委託契約の対象となる目的物について、委託者・受託者のいずれかの責任によらずに滅失や損傷が発生した場合のリスクの負担のことです。危険負担の移転の条項では、このリスクを「いつまで」・「委託者・受託者のどちらが」、「いつから」「委託者・受託者のどちらが」負担するか、ということを明記します。

民法上は、特定物(個性のある物)の引渡しを取引の目的とする場合において、その物を引き渡す義務がある者=債務者=受託者の責任ではない原因(天災など。)によってその物が滅失・毀損したときは、債権者=委託者がその損害を負担することになります(民法第534条第1項)。これを、「債権者主義」といいます。

つまり、目的物の納入前であっても、天災などによって目的物が滅失・毀損した場合は、委託者は、その目的物の納入がないにもかかわらず、報酬・料金を支払わなければなりません。

一方、不特定物(個性がない物)の引渡しを取引の目的とした場合は、債務者=「受託者が物の供給をするのに必要な行為を完了し」、または委託者=「債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したとき」(民法第401条第2項)、つまり、不特定物が特定物なるまでは、受託者がその損害を負担し(これを「債務者主義」といいます。)、その後は委託者が負担します。

上記の点につき、そもそも、不特定物が特定物となる時点について、判例は多数あるものの、統一的な基準があるわけではありません。また、債権者主義の場合、目的物の納入がなされていないにもかかわらず、責任だけを負わされることになり、「所有権は危険を負担する」という原理に反します。

危険負担の移転の時期は「納入時」か「検査完了時」

以上のように、危険負担の移転時期は、現在(2009年9月30日現在)の民法では、委託者にとって極端に不利な内容となっています。ただし、この規定はいわゆる「任意規定」であり、契約当事者の合意によって変更することが可能です。そこで、契約実務では、ほとんどの場合、契約書に危険負担の移転ついて記載し、ビジネスの実態に即して修正します。

危険負担は、業務委託契約の対象となっている目的物のリスクの負担のついての規定です。このため、目的物の引渡しを受ける立場の委託者にとっては、なるべく遅くまで移転しないほうが有利であり、目的物を引き渡す立場の受託者にとっては、なるべく早く移転したほうが有利です。このように、危険負担の移転の条項は、当事者間で利害が対立する条項です。

この点につき、一般的には、「納入時」か「検査完了時」までは受託者、それ以降は委託者の負担とすることが多いです。特に、「目的物を支配し、管理する立場にある当事者が危険を負担するべきである」という理由によって、「納入時」とすることが多いです。

参考文献

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最終更新日2012年8月21日